学習の作法②「できることをさらに繰り返す」
学校の定期テストや小テストで満点を取れたら、その範囲はそれでOKと言えますか?
普通の人なら、テストで満点を取れたなら十分だと思うでしょう。しかし、本当に「できるようになりたい」と思っている人はそれでは安心しません。
また、高校受験を見据えた勉強をする上では、本当に「できるようになりたい」と思っている人のように、テストで満点をとっても安心しないというのが正解なのです。
なぜなら、高校受験の入試本番では、中学3年間の膨大な範囲からどの部分が出題されるか分からないからです。
高校受験で合格を勝ち取るためには、できるようになったことをさらに繰り返すという「反復練習」のトレーニングが必要です。
このサイトの勉強法の軸となっている学習の作法の②「できることをさらに繰り返す」の部分に当たります。
学習の作法②「できることをさらに繰り返す」とは?
「できることをさらに繰り返す」という学習の作法は、特に、語学系の学習に必須です。具体的には、次の3つの状態が完全にできるようになるまで、何度も繰り返します。
①すらすら読めるようになっている
②意味を把握できている
③ことあるごとに繰り返す
できることをさらに繰り返すのは、おもに国語や英語で使う学習の作法で、具体的には繰り返し読むことで頭に入るようにする反復練習です。
①すらすら読めるようになっている
英語の教科書を読む場面を例にあげて説明していきます。
英語の教科書を声に出して繰り返し読むとき、できる生徒は途中でつっかえることなくなめらかに読むことができます。すらすら読めるようになるまで徹底して繰り返し読むので、自然に英語のリズムに慣れて、読解やリスニングに強くなっているのです。
これに対して、何度繰り返し読んでも、読み間違えたり途中でつっかえたりする子もいます。少しでも速く読もうとしていることが原因になっているようですが、根本的な問題は、「だいたいわかっているからいいや」と思ってしまっていることです。
また、何度反復して読んでもつっかえてしまう生徒は、英語自体が苦手なことが多いのですが、特にリスニングができません。英語のリズムがつかめないため、意味のまとまりをとらえられないのです。
意味のまとまりをとらえずに読んでいても英語の力は上がりません。
例えば“She is not from America”(彼女はアメリカ出身ではありません)という文章があったときに、意味のまとまりがわからっていないと、「シー、イズ、ノット、フロム、アメ、リカ」のようにただ声を出してなぞるだけになり、何度読んでも身につきません。
これが、意味をとらえられる人は、最初はゆっくりでも「シーイズノットフロムアメリカ」と、英語の意味のまとまりを意識して読むことができるので、繰り返し読むことでしっかり身につくようになります。
②意味を把握できている
英語であれ、古文であれ、すらすら読めるようになってはじめて、できるようになったと言えます。
音読がうまくできている生徒は、教科書や教材の文章をただ繰り返し読むだけではなく、内容をよく理解しています。意味がわからない単語や熟語を調べながら音読の反復練習をしているからです。
わからない単語を調べて理解して読むことには、2つのメリットがあります。
1.知識が付き、似た話題の文章が読みやすくなる
まず、文章中で使われていることばの知識を身につけることができます。さらに、意味を理解した上で繰り返し読むことで、似た話題の文をより早く正確に理解できる読解力がつきます。
2.ストーリーや筆者の主張・内容や構成が頭に入る
2つ目に、ストーリーや筆者の主張がスムーズに頭に入るようになります。また、その内容や構成が頭に入ることで、自分が文章を書くときにも使うことができます。つまり、応用です。
意味がわからないまま繰り返し読むだけでは、知識も応用力もつきません。ただ「音読できる」というだけです。
例えば、野球をテーマにした文章の場合、野球をしたことがあってルールも知っている人にとっては読みやすくなりますが、野球を知らなくて「表」や「裏」、「ホームラン」などの専門用語がわからない人がそのまま読んでも内容が入ってきません。
そういうことから、意味を調べて理解した上で読むことが大切なのです。
すらすら読むことができない場合のチェックポイント
繰り返し読む練習をしてもすらすら読めない場合は、教科書・教材や文章のレベルが高いのかもしれません。
今の自分の学力に対して難しすぎる文章を読もうとすると、単語の意味を調べるだけでは意味が理解できず、文章全体の意味も理解できないままただ繰り返し読むだけになってしまうからです。それでは内容が頭に入る前に、勉強がいやになってしまいます。
まずは適切なレベルの文章で、わかりやすい解説がついている教材を選ぶようにしましょう。教科書の文章が簡単というわけではないので、教科書が難しく感じる場合は学年を下げるなどして、もう少しレベルの低い教材を選ぶようにしましょう。
③ことあるごとに繰り返す
一度勉強した部分も、しばらくすると忘れてしまうものです。定期テストでは、勉強してからテスト本番まで時間が短いので覚えていられますが、高校受験ではそうはいきません。
高校受験の勉強では、覚えたものを長期間忘れないようにしなければいけません。そのためには、時間をおいてことあるごとに繰り返し練習する必要があります。
ことあるごとに繰り返す方法では、語呂合わせや歌に合わせて覚える方法が効果的です。
例えば、アルファベットを覚えるときの歌や九九がそうです。語呂合わせでいうと、「いいくに(1192)つくろう鎌倉幕府」などです。
このように、歌や語呂合わせてことあるごとに反復して唱えていると、時間がたっても忘れないようになります。
アルファベットや九九に限らず、各科目の基本事項をこのようにして覚えておけば、普通に覚えるよりも多くのことがスムーズに頭に入るようになります。
また、これを応用して英文などを丸ごと覚えることにより、文章のレパートリーが増えて自然と英語が得意になっていくのです。
まとめ
以上、学習の作法②「できることをさらに繰り返す」について説明しました。本当にできるようにするためには、少し反復練習してある程度できただけで満足しないということが大切です。
「できることをさらに繰り返す」ことで、高校受験の難しい問題にも対応できる力がついていきます。簡単なことではないかもしれませんが、志望校合格を勝ち取るためにぜひチャレンジしてみてください。
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