学習の作法「英語の力がアップする“例文暗記”って?」
前回の記事で“できることをさらに繰り返す”という学習の作法を紹介しましたが、今回は実際に勉強に取り組むときのやり方を詳しく説明します。
前回の記事を読みたい人は下記よりチェックしてみてください。
“できることをさらに繰り返す”とは、文字通りできるようになったことをさらに復習して忘れないようにするということです。今回はその中で、英語の勉強で有効な “例文暗記”について説明します。
例文暗記は、文字通り英語の教科書や参考書などの例文を暗記することです。例文暗記は、英語の基礎力をアップするためにとても効果的で、落ちこぼれ高校から東大合格を目指す、マンガ『ドラゴン桜』(講談社)でも紹介されています。
英語力がアップする例文暗記の効果
マンガでも紹介されて、英語学習の定番となっている例文暗記ですが、実際にどのような効果があるのでしょうか?
①英作文の力がつく
苦手な生徒が多い英作文も、例文暗記をすることでできるようになります。英作文は自分で一から作るのではなく、暗記した例文を組み合わせたり変形したりすることで、より簡単に作れるようになります。
②穴埋めや並べ替え問題に強くなる
英作文の力がつけば、文の空所に適切な単語を入れる穴埋め問題や、単語を並べ替えて正しい文にする並べ替え問題にも強くなります。
③読解やリスニングの力もアップする
さらに、読解やリスニングにもかなりの効果があります。覚えた例文と似た表現の文を読んだり聞いたりしたとき、パッとすぐに意味が浮かぶようになるのです。
英語が苦手な人でもできる例文暗記の方法
例文暗記と言っても、いきなり英文を暗記するのは間違いです。意味がわからないまま覚えようとしても、覚えるのに時間がかかりますし、覚えても使えない…ということになるからです。
効率よく英文暗記をするには、まずは英文の構造や意味を正確に理解するところから始めます。意味が理解できたら、次は日本語訳の練習。それができたら英文の音読をし、いよいよ暗記する段階に入ります。
では、それぞれのステップについて詳しく説明していきます。
①文の組み立てと意味を理解する
英文を効率良く覚えて使えるようにするには、文の組み立てを把握し、なぜその意味になるのかを理解することが大切です。
「この単語は日本語訳のどの部分にあたるのか?」「この単語とほかの単語はどういう関係なのか?」このような文の構造を理解することで、効率良く英文を暗記することができ、時間がたっても忘れにくくなるのです。
一つ例文を見てみましょう。
He is my friend.
「彼は私の友達です。」
単語一つ一つの日本語訳を見てみると、
he = 彼
is = ~は…です。
my = 私の
friend = 友達
となります。
単語の関係を見てみると、
he が主語
is が動詞
myは代名詞で、後ろのfriendを修飾しています。
このように、文章を細かく見ていくことで理解が深まり、効率良く覚えることができます。
また、英語の文法や文の組み立てがよくわからないという人でも、たくさんの文章の構造を見て覚えていくことで自然と文法が理解できるようになります。
文の意味や組み立てを理解して覚えていくため、使用する例文集は、文の解説が十分ついているものがおすすめです。日本語訳だけではなく、文の構造や品詞などについても詳しく説明しているものです。
英語が苦手な人は、簡単な文章が載っているものから始めましょう。特に、文法の基本があまりわからないという場合は、『東大生が書いたつながる英文法』(ディスカヴァー)が役に立ちます。
高校受験対策としては、『99パターンでわかる中学英語文型の総整理』(学研)がおすすめです。
②日本語に訳す練習をする
例文がなぜその訳になるのか理解できたら、次に、英文を日本語に訳す練習をします。
すらすら訳せるようになるまで繰り返すというのが、例文暗記で一番大切なポイントと言っていいかもしれません。
例文を見てから日本語訳を言うまでに「えーと、なんだっけ……」とすぐに出てこないうちは、例文を暗記する段階に進んでも効果は薄いでしょう。
例文を見てパッとすぐに訳せるようになるまで、英語→日本語の練習を続けましょう。
例えば、
I do not like soccer.
の場合、
日本語訳は「私はサッカーが好きではありません。」です。
この英文を見たときに、
「(私は…、好きではない…、サッカーが…、)私はサッカーが好きではありません。」
という風に、訳すのに時間がかかっていてはだめです。
英文を見てすぐに「私はサッカーが好きではありません。」と言える程度になることが目標です。
③英文の音読を繰り返す
意味がわかって、反射的に訳せるようになったら、いよいよ音読を繰り返して暗記するステップに進みます。音読を繰り返すのは、「からだで覚える」ためのプロセスです。「からだで覚える」ことで、時間がたっても忘れにくくなります。
まずは英文を見ながら繰り返し唱えます。ある程度慣れてきたら、例文を見ずに唱えます。発音が苦手な人は、英語の発音がカタカナで書かれている辞書がありますので、まずは単語1つ1つの発音を確認しましょう。
この段階では、唱えれば意味も自然に浮かんでいるはずですから、読解力もアップします。九九を覚えるように、舌と唇の動きを覚えるくらいにひたすら唱えてください。
このとき、付属CDの読み方を大げさなくらいに真似することで、かなり記憶しやすくなります。CDの外国人の発音はかなり大げさなので、それをリズムとして覚えることで、体にしっかりと定着するのです。
例えば、
She is not from America.
「彼女はアメリカ出身ではありません。」
という文章の場合、
英語を普通に読むと、「シーイズノットフロムアメリカ」のような感じになると思います。
これを、外国人の発音を真似して大げさに、
「しー イズ ナト フらム ぁメーりカ」と読みます。
こうすることで、発音を体で覚えて忘れないようになるのです。
④英文を暗記する
ここまで音読を繰り返して、ようやく英文そのものを覚える練習に入ります。覚える、といっても実際は日本語訳を見て英文を言う練習をします。
CDが日本語→英語の流れになっているので、日本語を聞いて英文が流れる前に、自分で英文を唱えてしまうというやり方がおすすめです。このやり方だと、英文が合っているかがすぐに分かるので効率的に練習することができます。
I play baseball.
「私は野球をします。」
という文章の場合を見てみましょう。
CDから「私は野球をします。」という日本語が流れたと当時に、「I play baseball.」と唱えます。
そうすると、その後すぐに「I play baseball.」という答えが流れてくるので、このときに自分が唱えた英文が合っているかを確認できます。
『99パターン』を覚えた段階で、ふつうの公立高校入試問題の文法や作文の問題はほとんど解けるようになるでしょう。
まとめ
以上、「できることをさらに繰り返す」学習の作法の、英語の例文暗記について説明しました。
どのステップでも、答えがすぐに浮かぶという段階までしっかり繰り返すことが大切です。英語力を高めるためにぜひチャレンジしてみてください。
ここまでできたら、次はいよいよ長文読解の力をつける作法に進みましょう。
すべての勉強を効率的にする学習の作法って?
学習の作法は、学校でいつもトップの成績を取っているような“できる生徒”が当たり前にやっている勉強法を細かいステップに分解してわかりやすく説明したものです。
この学習の作法を習得すれば、すべての勉強が効率的に進められるようになり、勉強すれば確実に結果を出すことができるようになります。