高校受験勉強の成果が出やすくなる“音読”のコツ
あなたは勉強しているとき、音読をしていますか?
「書いた方が覚えられるから音読はいらない」「家でやるのは恥ずかしいからしていない」など、音読を必要ないと思っている人も多いと思います。
実は、学習内容をしっかり定着させるために、音読はとても良い勉強法なのです。
特に高校受験の勉強において音読は、「記憶しやすくなる」「理解が早くなる」という点が、とても大きなメリットになります。音での情報が加わるというだけでも記憶の手がかりが増え、しっかり覚えられて忘れにくくなるのです。
さらに、声に出して読むということで、スポーツや楽器の練習のように「からだで覚える」という効果もあります。英語ではリスニングの基礎にもなります。
ここでは、学習内容が本当に身につく音読の方法や、音読におすすめの参考書などを紹介します。
最初からスムーズに音読できる人は少ない
文章を音読すると言ってもただ読むだけではなく、すらすらと読めて、最終的には意味も理解できている状態にしないといけません。
そこまでの状態にするにはかなりの練習量が必要ですし、最初からはなかなかうまくできません。特に古文や英語などは読み慣れていないので、すらすら読めるようになるまで時間がかかります。
一番取り組みやすい国語の現代文でも、読み方のわからない漢字があると、そこで止まってしまいます。間違えても良いから、とにかく読んでしまうというのも手ですが、わからない漢字だらけだと前に進みません。
音読をマスターするのにおすすめのテキスト
これまでにたくさんの生徒の受験指導をする中で、数多くのテキストや参考書を見てきました。その中で、小学校から中学校の音読テキストとしておすすめしたいのが、『ほんとうの「国語力」が身につく教科書』(Z会出版)です。
エッセイや評論、詩など、さまざまなジャンルのおもしろい文章を集めたもので、読み仮名をつけてあります。文章の多くが本屋さんで売っている本から抜粋されていますから、気に入ったものがあれば、自分で買って一冊丸ごと読むこともできます。
音読を身につけるコツは繰り返し
学習のコツは、最初はつっかえながらで良いから、とにかく何度も音読すること。たいていはそれだけで上達しますし、何度か音読しても間違うようなら弱点が見つかります。
何度か読んでみると、よく意味がわからないとか、つっかかりやすいという箇所が出てくるでしょう。そういう箇所が出てきたら調べます。単に見慣れない表現で読みにくいのなら、その部分だけ繰り返し音読します。そして、ある程度すらすら読めることを確認したら、再度、全体を通して音読という作業に進みます。
これは、部活の練習と同じです。ほかの部分と比べてむずかしく、なかなかうまくできない箇所というのが必ずあり、その箇所は特に繰り返し練習することになります。
例えば野球の場合、キャッチボールやバッティング、盗塁、ノックなど色々な練習メニューがあると思いますが、守備が苦手な人は集中的にノックをして、守備がうまくなるように繰り返し練習すると思います。
このような部活のスポーツや楽器の練習と同じように、わからないところをつぶしていくのが音読上達のコツです。逆にそこさえつぶせれば、実力に対してややむずかしい内容もこなせるようになります。
音読をさらに上達させて理解を深めるコツ1
音読をしてある程度文章が読めるようになったら、書かれた時代や舞台となる地域などについての背景を知ることで、さらに理解を深めることができます。
先ほど紹介した『ほんとうの「国語力」が身につく教科書』の場合、ページ下段に解説がありますのでそれを読むといいでしょう。背景を知ると、文章をよりよく理解でき、また興味を持つことができます。
背景を知った段階では文章はほぼすらすら読める状態になっていると思います。そのあと1、2回読めば、もうすらすら読んで理解することができているでしょう。
しかし、音読はそこで終わりではありません。これは楽器の練習と同じです。1回うまく弾けたからといって終わりにはせず、その状態でさらに練習を続けて感覚をつかむのです。
内容を理解し、背景をイメージできる状態ですらすら音読する。この段階を踏むことでほんとうにその文章を自分のものとすることができます。
小学校の国語の教科書で習う「かわいそうなぞう」の場合をみてみましょう。動物園のぞうが、戦争をきっかけに殺されてしまうというお話です。戦争で檻が壊れてしまうと、ぞうが逃げ出して人間に危害が及ぶからという理由で、物語の中では3頭のぞうが死んでしまいます。
これは実話をもとに作られたお話で、舞台は東京の上野動物園、時代は1940年代の第二次世界大戦の頃です。実際に第二次世界大戦のときには、上野動物園だけではなく全国の動物園にぞうを含めた大型の動物を処分する命令が出たそうです。物語の中で登場するぞうのジョン、トンキー、ワンリーも実際に存在していました。
このように、物語の背景を知ることでイメージが膨らみ、頭に入りやすくなります。
音読をさらに上達させて理解を深めるコツ2
そして、文章を「ものにできた」と言えるほど繰り返し読んだら、次はそれについての感想や続く展開の予想を考えてみます。
例えば『うさぎとかめ』を読んだ場合、「うさぎみたいにならないように、気を引き締めようと思った」というような簡単なもので構いません。慣れてくれば、なぜそう思ったかなど、さらに詳しく説明できるようにしていきましょう。
それができたら、次はその後の展開を予想してみましょう。『うさぎとかめ』の場合だと、「油断してカメに負けたうさぎは、これからは真面目に頑張るようになりそう」などです。
ここまでできるようになれば、文章を順序だてて読む力が付き、読解や作文の力が大きく向上します。そうすれば、現代文や古文、英語の長文の学習が楽になり、成果も出やすくなります。さらに英語はリスニングの力もつきます。
まとめ
以上、勉強の成果が出やすくなる音読のコツを紹介しました。
音読を普段の勉強に取り入れることで読解力が上がり、国語の現代文・古文や英語の長文・リスニングだけではなくすべての教科の基礎力になります。例えば数学の文章問題などでは、数学の力だけではなく文章を正しく読む力が必要です。
ただ、この音読の勉強法をマスターして結果を出すまでには時間がかかります。1年生2年生のうちから高校受験を見据えて早めに取り組むことをおすすめします。
また、このサイトでは今回紹介した音読の勉強法の他にも、しっかり取り組めば確実に成果の出る“学習の作法”を紹介しています。日々の勉強の効果をさらに高めるために、ぜひ参考にしてみてください。
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